あらすじ
これは、声を持たない少女が初めて誰かを想い、その想いを届けようとする物語。沈黙の中で紡がれる、切なくも強い恋の物語。
代々、女たちはみな声を持たずに生まれてきた。それを「体質」だと信じて。
――それが千年続く呪いだと、誰も知らなかった。
救命センターで命を落とした看護師・玲子が目覚めたのは、声の出ない少女イリスの体の中。前世の知識で戦場の兵士を救い始めた彼女を、「戦鬼」と恐れられる副騎士団長ゼクスが見つめている。
貴族令嬢の「悪気なき」刃、部下の裏切り、迫る王家の影。そして包帯を巻き終えた後、イリスが声のない口で毎日呟く短い言葉を、ゼクスだけが気にしていた。
「お前の声が、聞きたい」
千年封じられた言霊が、たったひとつの想いで解き放たれる時――。