あらすじ
伯爵夫人メアリーは、夫エドワードの事業を陰で支えていた。
無計画で一貫性のない命令が下されても否定はせず、現場が成立する形へと整え、何事もなかったかのように回していく。それが彼女の役目だった。
だが当のエドワードは、自分の才覚で事業が成功していると信じて疑わない。
やがて彼はメアリーに離婚を言い渡す。
家内も社内も、一人を除いて誰も何も言わなかった。
そしてメアリーは静かにそれを受け入れる。
――承知いたしました。
その一言のあと、屋敷は何も変わらないように見えた。
だが実際には、すでにすべてが崩れ始めていた。
そしてその変化に、ただ一人だけ気づかない者がいた。