あらすじ
仕事帰りに拾った、ひとつの黒い種。
何気なく部屋の土に埋めたその日から、日常は静かに壊れ始めた。
数日後、植木鉢の中から現れたのは――土に濡れた、一人の美しい女。
記憶を持たない彼女は、外に出ることを拒み、やがて「芽衣」と名付けられる。
奇妙な同居生活の中で、二人は次第に距離を縮めていく。
だがある夜、テレビに映し出されたのは――彼女と同じ顔の「指名手配犯」。
それでも、彼女と過ごす時間を選んだ主人公。
そして迎える、夏祭りの夜。
赤提灯の揺れる人混みの中で、彼女は忽然と姿を消す――。
残されたのは、小さな鈴と、わずかに崩れた土。
あの出会いは偶然だったのか。
それとも――。
静かに侵食される日常と、消えない違和感。
“戻る”物語。