あらすじ
罪人は大烏と呼ばれていた。
カラス科の人外であり、高貴な女を殺すことが生きがいの醜悪な男だった。
物心つく頃から屍肉を漁り、牢にぶち込まれてもいずれ這い出て盗みを働き、不気味なほど黒い髪を女の血で濡らしては闇夜を笑いながら飛び去って行く。
空は大烏の独壇場。誰も止めることができず、誰も捕らえることができなかった。
名乗り出たのは一人の男。この時代では希少な、純粋な人間だった。
人外からすれば軟弱な人間だったが、頭の切れる理路整然とした男。
男は言う。
「必ず大烏を連れ帰るとお約束いたします。ただ一つ、お時間を頂きたい。一年、今からきっかり一年で烏をここに」
そう言ったきり、相手方の返事も聞かずにふらりと姿を消した。