あらすじ
地上の聖なる光は、一人の少年の終わらない悲鳴でできている。
人類は10歳で「忘却の洗礼」を受ける。強い罪悪感も、後悔も、誰かを傷つけた記憶も――システムが抽出し、地下最下層〈奈落〉の生贄へと流し込む。生贄の名はゼロ。全身が黒い泥に覆われた異形の怪物。声は出ない。だが、意識はある。
ゼロは数えるのをやめた量の罪を受け取り、浄化し続けてきた。それが優しさだと思っていた。誰かの痛みを俺が引き受ければ、誰も傷つかない。耐えることが、この世界への贈り物だと。
だが今日、ある男の罪が落ちてきた。聖堂会計士ガロ。横領の罪悪感を捨て、同僚を死に追いやり、今日も笑っている男。その罪を浄化しながら、ゼロは初めて気づいた。
俺が耐えるたびに、こいつは無罪になる。俺の優しさが、こいつを赦し続けてきた。――耐えることは、優しさじゃない。加担だ。
今日から、返す。