あらすじ
迷宮都市ラグナで、地上の郵便屋が入れない迷宮内へ手紙や荷物を届ける仕事をしている配達人リオ。
ある日、彼のもとに一通の手紙が持ち込まれる。
宛先は、第十八層「灰の礼拝堂」。
受取人は、十年前に魔王討伐のため迷宮へ向かい、死んだはずの勇者アルト・レインだった。
差出人は、かつて勇者一行の荷物持ちだった老人ロウ。
彼は死の間際、勇者がまだ迷宮の底で生きていると信じ、リオに手紙の配達を依頼する。
半信半疑のまま第十八層へ向かったリオは、灰に覆われた礼拝堂で、魔王との戦いの後も人ではない姿になって生き続けていた勇者アルトと出会う。
手紙に綴られていたのは、十年前の裏切りだった。
ロウは勇者への嫉妬から、彼らが進む道を王宮に売っていた。
しかし王宮は、魔王だけでなく勇者も迷宮に封じるつもりだった。
許しを求めるでもなく、ただ自分の罪を置いていくために書かれた手紙。
アルトはそれを静かに受け取り、リオに返事代わりの認識票を託す。
死者宛てかもしれない手紙を届けた配達人が、十年越しの後悔と、届くはずのなかった言葉を運ぶ迷宮冒険短編。