あらすじ
勇者パーティーの荷物持ち、アードゥ・テイカーは弱かった。
剣も魔法も大したことはなく、戦闘では役に立たない。
おまけに女好きで、軽薄で、勇者たちからの評価も低い。
そんな彼は、魔族領との境界で小柄な魔族の少女を助けたことで、勇者パーティーを追放されてしまう。
置き去りにされた森の中、アードゥは魔族に捕らえられ、魔王の前へ引きずり出された。
人類の敵。
滅ぼすべき存在。
そう教えられてきた魔王は――。
ものすごく可愛い女の子だった。
勢いのまま「好きです」と口走ったアードゥは、なぜか魔王の城で生かされることになる。
与えられた役目は、勇者の情報を売ることではない。
人間の目で、魔族を見ること。
魔族にも畑がある。
食堂がある。
治療室がある。
傷つく者がいて、食べ物を育てる者がいて、守りたいものがある。
アードゥは戦えない。
魔王様を守る力もない。
けれど、荷物持ちとして、運べるものならある。
水を。
食料を。
薬を。
言葉を。
そして、人間が見ようとしなかった魔族の姿を。
これは、勇者パーティーを追放された情けない荷物持ちが、魔王様に忠誠を誓い、世界を少しだけ踏み止まらせる物語。
なお、魔王様は今日も可愛い。