あらすじ
東都自動車・経理部次長補佐、秋山里帆、三十八歳。
老舗自動車メーカーの中枢で働く彼女は、
これまで何度も“会社の情報”を求められる恋愛を経験してきた。
だから、人を好きになることが怖かった。
そんな彼女が出向先として訪れたのは、
東都自動車を創業時代から支えてきた小さな町工場――高瀬ネジ工業。
そこで出会ったのは、
世界を変えるかもしれない特許を生み出した若き社長、高瀬恒一。
けれど彼は、
彼女の肩書きにも、
年齢にも、
会社の価値にも興味を示さなかった。
ただ普通に、
「ご飯食べます?」
と聞いてくる人だった。
町工場の食卓。
海辺の缶コーヒー。
古い喫茶店。
向かいのパチンコ屋。
少しずつ近づく距離。
でも秋山は、
“愛されること”を信じきれない。
これは、
恋愛に失敗し続けた女が…