あらすじ

粗暴で奔放な『天胤』&秘密を抱えた『使者』。 心臓と運命を共有する『天使』なバディが悪魔を祓除する、因縁と喪失の共闘譚。 【第25回角川ビーンズ小説大賞向けあらすじ】 かつてこの国・瑞穂は、“悪魔”の襲撃によって壊滅の危機に瀕した。見かねた神は、人類へ悪魔に対抗する力――“天使”を齎す。人々はその力を利用し、天使の権能を分けた人造人間にして人型兵器『天胤《エンジェリック》』を生み出した。 しかし、『天胤』はその代償として心臓を持たない。生きるためには『使者《ドナー》』となる人間と契約し、心臓と運命を共有する必要があった。そうして生まれる、『天胤』と『使者』の戦闘コンビ――それが『天使』である。 高校二年生の鶫つむぐは、ある日、通学電車の中で突如現れた悪魔に襲われる。窮地に陥った彼を救ったのは、『天胤』である天雀冬馬だった。戦いの最中、冬馬はつむぐに目をつけ、半ば強引に契約を結ぶ。こうしてつむぐは『使者』となり、冬馬とともに『天使』として戦うことになった。 天使養成機関へ所属したつむぐは戦闘形式の実力測定を受けることになる。つむぐは力不足を理由に早々に降参しようとしたが、それを許さない冬馬に追い回されていく中、〝超級悪魔〟の襲撃が発生する。 圧倒的な力を前に追い詰められ、冬馬も重傷を負う。それでも決して希望を捨てず、つむぐの力を信じ期待する訴えをぶつけてくる冬馬に、つむぐは己の過去と向き合う。 つむぐは『天胤』だった。かつて『使者』を失った彼は、その人から「人として幸せに生きてほしい」という願いと心臓を託され、『天使』プロジェクト統括の庇護のもと、普通の人間のふりをして生き、その力も隠してきた。だが胸の奥には消せない思いがあった。『使者』を奪った〝最厄の悪魔〟への復讐。そして、己の『使者』が憧れ、求めていた〝ヒーロー〟になること。思いを取り戻したつむぐは再び『天使』としての本気で責務を果たす決意をする。 そうして養成機関襲撃の真相を追う中、つむぐと冬馬は〝最厄の悪魔〟と繋がる〝変身の悪魔〟に会敵する。その悪魔は元『天胤』であり、他者へ化ける能力を持っていた。悪魔はつむぐが失った『使者』の姿へと変身し取引を持ち掛けてくる。それを拒絶はするものの、忘れられるはずのない姿を前に動揺したつむぐは隙を晒し、悪魔を取り逃がしたうえに策に掛かり、冬馬の刀に胸を貫かれ重傷を負ってしまう。 『天胤』が『使者』を傷つけた代価として、統括立会いのもと、『天使』解散の危機に陥るつむぐと冬馬。しかしつむぐが冬馬との出会いと存在が齎してくれた影響を訴えた末、ふたりは解散の危機を逃れ、再び悪魔を追うこととなる。そして互いが得た情報をすり合わせていく中で〝変身の悪魔〟の正体が判明する。それは契約を結ぶ約束した『天胤』・鶯袮を災厄で失い、もう一度彼に会いたいと願った『使者』・淡生が、〝最厄の悪魔〟に唆され変じた姿だった。 淡生と縁のある養成機関職員・茉麻から「彼らの悪夢を終わらせてほしい」と託されたつむぐたちは、最終決戦の地、一組の『天使』未満が破滅を迎えた街へ向かう。激戦の末、淡生を追い詰めるつむぐたち。だがそのとき、〝最厄の悪魔〟が鶯袮の肉体を依り代として顕現する。利用され、裏切られ、鶯袮の身体さえ完全に奪われた淡生は絶望に打ちひしがれるも、最後の力を振り絞ってつむぐと冬馬へ未来を託した。彼らは力を合わせ〝最厄の悪魔〟を討ち、淡生は鶯袮とともに消滅した。 戦いは終わり、つむぐと冬馬は一時の日常へ帰還する。だが、〝最厄の悪魔〟の本体はいまだ世界のどこかに潜み続けている。消えない傷と喪失を抱えながらも、つむぐと冬馬は新たな絆を結び、時に尻を蹴り合い、時に支え合いながら、それぞれの信念を貫くために戦い続ける。

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カクヨム2026/05/17
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