あらすじ
「百合は万病に効くんです!!」
春の朝。
白百合ヶ丘女学園に、今日も元気なお嬢様の声が響き渡る。
「見てくださいキミ! あの二人、今お互いの飲み物を交換しました!」
「ただの味見です」
「ですが間接――」
「黙ってください」
容姿端麗、成績優秀、才色兼備。
学園中の憧れを集める完璧なお嬢様、御城夏。
しかし彼女には、たった一つだけ致命的な欠点があった。
女子同士のやり取りを見ると、全部“百合”に見えてしまうのだ。
一緒にお昼を食べれば、
「素晴らしい関係性です!」
教科書を共有すれば、
「古典的百合イベントですね!」
ケンカ中の生徒会役員を見れば、
「むしろ今が一番美味しいところです!」
そのたびに、専属メイド兼クラスメイトの冥土キミの胃は死ぬ。
「なんで人間関係を実況するんですか」
「というか近いです」
「百合で全部解決しようとしないでください!」
けれど不思議なことに――
夏が騒いだ後は、なぜか少しだけ空気が丸く収まっている。
ぼっちだった新入生に友達ができたり。
険悪だった生徒同士が仲直りしたり。
気まずかった空気に、笑い声が戻ったり。
認めない。
認めたくはない。
けれど今日もまた、夏は自信満々に言い放つのだ。
「ほらキミ。やはり百合は万病に効くんです!」
「たまたまです」
これは、“百合は万病に効く”と本気で信じているお嬢様と、絶対にそれを認めたくない苦労人メイドがおくる、女子校青春(?)コメディ!!