あらすじ
実家なら
五万円ですむのに
炊きたてのご飯も
勝手に補充される麦茶も
なにも言わなくても置かれる絆創膏も
ぜんぶ込みで
五万円ですむのに
なのに私は
役所に紙を出して
別々の住所のまま
同じ名字になった
おはようも
おやすみも
LINEで済む
会うのは週末だけ
なのに不思議と
他人より近くて
家族というには
まだ少し遠い
結婚って
もっと劇的なものだと思ってた
指輪とか
同棲とか
永遠とか
でも実際は
Googleカレンダーを共有して
終電を気にして
コンビニの新作アイスを送り合うくらいだ
実家なら
五万円ですむのに
熱を出した夜
「今から行く」の一言で
少し泣きそうになった
損とか
得とか
そういう計算だけじゃ
測れないものがあると
まだ認めたくないけど
たぶん私は
あなたと帰る場所を
作りたかったんだと思う