あらすじ
――その『箱』だけは、絶対に受け取ってはいけなかった。
夫の実家から無理やり押し付けられた、古ぼけた市松人形『菊代』。
ガラス越しにいつでも目が合うような、血の気のない白い顔。持ち帰った三日目の深夜、決して鳴るはずのない木とガラスの擦れる音が、暗いリビングに響き渡った。
『呪オォォ……血ヲ、啜ロウ……!』
180度回転した首。暗闇を蠢き、部屋を埋め尽くすように異常増殖する黒髪。這いつくばる特級の怪異を前に、主婦の真由美は想像を絶する恐怖に直面する。
このままでは、殺される。命の危機に瀕した彼女は、自らが助かるために、現代のネットワークを使った【ある残酷な決断】を下した。
匿名で出品し、無関係な第三者へと「呪い」を押し付けること。 それが、絶対に終わらない連鎖の始まりだった。
怨念の標的となり、生配信中に不可解なポルターガイスト現象に見舞われ、首を絞め上げられる購入者たち。恐怖に耐えきれなくなった彼らもまた、自らが助かるために次々と【いわくつき】として、見知らぬ誰かへ向けて箱を発送し続ける。
「ノークレーム、ノーリターンでお願いします」
お互いの顔も名前も知らない、匿名配送という絶対的なシステムの闇。暗く狭いダンボールの中に厳重に閉じ込められ、夜の国道を果てしなく運ばれ続ける怨念は、いったいどこへ行き着き、誰の血を啜るのか――。
決して、開封してはならない。 恐怖と欲望が渦巻く、ネットフリマアプリ発・現代都市伝説ホラー。
♑️黒山羊ホラー文化祭参加作品
https://kakuyomu.jp/user_events/2912051599768323429