あらすじ
これは、私の叔父のGが大学時代に実際に体験した話なのですが……。
叔父はK大学の温泉サークルに所属していた筋金入りの温泉マニアでした。温泉の話を始めれば止まらず、湯の匂いを嗅いだけで泉質や成分を言い当てると豪語していたくらいです。
そんな叔父がある秋、友人のMと二人でA県にある名高いD温泉を目当てに旅行に出かけたそうです。
D温泉は山間に佇む由緒ある温泉地で、古くから湯治場として知られ、泉質の良さは折り紙つき。湯に浸かっただけで古傷が癒えるだの、病が治るだのといった半ば伝説めいた話まで残っているそうです。
しかし当時の叔父はB乏学生でしたので、宿代を少しでも抑えようと、観光案内にも小さくしか載っていない『F』という古びた旅館に泊まることにしたのです。