あらすじ
〜最後にゾッとする怖い話シリーズ〜
娘が埼玉県を破きました。
完全に私の不注意でした。娘が寝ている傍に、チラシを置いていたみたいでして。
まさか写真や絵だけでなく、地図まで対象だなんて、この時は思いもしていなかったんですよ。
話が見えて来ない?
すみません、説明不足でしたね。……そうですね。
私の娘は破いたものを消滅させてしまうのです。
疑われてしまうのも仕方ありません、信じられない話ですよね。
しかも厄介なことに、娘が破いたものはこの世から跡形もなく消えてしまうのです。
存在していた、という痕跡そのものまで。
先程、私が『娘が埼玉県を破いた』と言いましたが、そもそも埼玉県を覚えていないかと思います。
日本の歴史が変わってしまったんです。
埼玉県が妹の手によって消滅し、大きな湖になりました。
日本で最も大きな湖は琵琶湖だったのですが、現在では埼玉の形をした湖がその座を奪いましてね。
不謹慎な話ですが、湖を見た私は、お祭りでよくある型どりのようだな……と、少し面白おかしくなってしまいました。
あの湖が最も大きな湖であることを、何を当然なことを言っているんだ、と言いたげな顔ですね。
歴史を変えると言うのは、人々の記憶をも変えてしまうということなんですよ。埼玉県という記憶は、あなた方の頭から抜けています。娘の母親である私を除いて。
他に娘が破いたものですか……
私が警察署に出向いた理由を話す上で必要なこともありますので、順を追って話しますね───