あらすじ
僕はこの世界の見たものすべてを爆発させてしまう。
きっかけは小学5年生の夏。眼の前で友人を殺され、次に自分を殺そうと迫ってきた男を、恐怖のあまり3秒間凝視した瞬間だった。轟音と共に吹き飛ぶ肉片。それが、僕、博隆(ひろたか)の生きる世界から色彩が消え去ってしまった瞬間だった。
生まれつき兎のように赤かった僕の目は、それ以来、世界を破壊する呪いとなった。病院の検査器具を爆発させ、ついには医師までをも爆破してしまった僕を連れ、耳の聞こえない母親は逃げるように街を去った。
「博隆、これから絵を学ぶのよ。あなただけの世界を創るために」
亡き父の遺品である特殊なサングラスをかけ、母の顔を決して見ないよう俯きながら、僕は絵を学び始めた。やがて独学で3Dモデリングの技術を身につけた僕は、高校にも行かず、自宅のディスプレイという「爆発の起きない安全な別世界」の中だけで、インターネットを通じて世界と繋がり、孤独に生計を立てるようになる。
自分の目が持つ【5つの絶対ルール】を冷徹に分析し、モノクロの殻に閉じこもっていた僕。 しかしある夜、僕は必然のように彼女と出会ってしまう。
3秒間、焦点を合わせて見つめても、絶対に爆発しない女性、瑠璃(るり)。
彼女との出会いが、引きこもりだった僕の人生を、そしてモノクロだった世界を、鮮烈な「カラー」へと変えていく。これは、すべてを破壊する目を持った僕が、異世界に触れる記録。