あらすじ

静かな計算で この家の門をくぐった 庭の薔薇の値段も 床柱の木目も 古い通帳の残高も 全部、 数字でしか見ていなかった 「愛なんて曖昧」 「最後に残るのは財産」 そう信じていたのに 朝、味噌汁を作れば あなたは泣きそうな顔で笑った 「玲奈ちゃんが来てから、 毎日が嬉しいの」 その一言が、 やけに胸に残った 奪うつもりだった 主導権も 信頼も 遺産も なのに気づけば私は お揃いのカーディガンを着せられて スーパーを歩き 薔薇の剪定を褒められて 高級入浴剤を渡され 熱を出した夜には 眠らず看病されていた どうしてそんなに優しいのですか 私は、 そんなふうに 大事にされるような人間じゃないのに 震える声で告白した夜 「財産目当てだったんです」 そう吐き出した私の手を あなたは静かに握って 「知ってたわよ」 と笑った 「でもね、 本当に悪い子は」 「あんなふうに、 誰かのために頑張れないのよ」 その瞬間 負けた、と思った 打算も 計算も ひねくれた誇りも 全部 あなたの愛情に 負けてしまった 今日もまた 「玲奈ちゃん、 お揃い買っちゃった!」 と笑う声がする 私は呆れたふりをして その服を受け取る 財産なんかより、 ずっと厄介なものを 私はこの家で 手に入れてしまったのだ。

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小説を読もう2026/05/17
  • 現在の作品『財産目当ての同居のはずが、義母の溺愛が強すぎて計画が進みません!』