あらすじ
右のイヤホンを、キョンはいつも黙って渡してきた。
高校の帰り道、毎日40分の各駅停車。
俺だけが知っていた、あいつの笑い方。
なのに俺は——雰囲気も何もないホームで、突然降りて、告白して、あっさり振られた。
それから20年。
38歳の俺の人生は、静かに詰んでいた。
パワハラ、偽りの結婚、子供は他の男の子供。
誰にも言えず、酒を飲んで、階段を踏み外した。
目が覚めると、16歳に戻っていた。
しかも今の俺には、未来の記憶が全部ある。
——今度は、ちゃんとやる。
キョンのことを、ちゃんと知って、ちゃんと隣にいる。
たとえキョンが、性別というものを持っていなくても。