あらすじ
村の真ん中には、値札のないパン屋があります。
パン屋のミナは、毎朝、丸いパンや少し歪んだパンを焼きます。
子どものリオは、誰かのためにパンを運び、庭師のサナは花よりも先にほどけた靴ひもを結び、鍛冶屋のトウマは小さすぎる鈴を作ります。
この村には、お金がありません。
善人も悪人もいません。
けれど、困る人も、迷う人も、眠れない夜もあります。
誰かを裁く代わりに、椅子をひとつ増やす世界。
誰かの価値に、値札をつけなくていい世界。
これは、そんな小さな村で流れていく、やさしい日々の連作短編です。
読んだあと、少しだけ心がほぐれますように。