あらすじ
夢も、仕事も、収入も、賞賛も。
安定した生活も、寂しい時に寄り添える『誰か』の存在も。
全部欲しい。手に入れたい。
そう願うのは、強欲ですか──?
♢
貯金なし、地位も名誉もなし、正規雇用の仕事なし、ついでに恋人もなし。
仁木千波《にき ちなみ》、27歳。フリーター兼・売れない漫画家。
幼い頃から抱いていた漫画家になる夢は、一度は叶った……はずだった。
地道な努力でデビューまで漕ぎつけたものの、その後の仕事は白紙同然。
現在は生計を立てるため、カフェでアルバイトをしながら再起をかけて奮闘している。
しかし、現実はどこまでも非情。
「夢を諦めまっとうに就職するか」
「家なき子になってでも夢を追い続けるか」
究極の二択を突きつけられた仁木の前に現れたのは、高校時代の先輩・水谷瑞遥《みずたに みはる》だった。
数年ぶりに再会した瑞遥は、大手企業を早期退職し起業した会社を軌道に乗せた、新進気鋭の経営者。
であると同時に、共感力に乏しく妻に去られたバツイチ独身男でもある。
何にせよ、自分には遠い存在だ。
そう考えていた仁木に、瑞遥は思いもよらない提案をする。
「困ってるなら、うち来れば?」
恋人でもない、友人ですらない。関係薄めな昔の知人。つまり、ほぼ赤の他人。
そんな瑞遥に拾われて、仁木は彼の部屋での居候生活を始めるが──。
夢か、生活か、仕事か、恋か。
人生の荒波を越えた先に、仁木が最後に手にするものは。