あらすじ
一条零夜は、何に対しても無気力な高校生だった。
勉強も運動も平均以下。
友人付き合いにも興味はなく、授業中もいつも気だるそうに窓の外を眺めている。
隣の席である渋谷綾乃も、そんな零夜のことを「他人に興味のない人」だと思っていた。
黒髪ロングに整った容姿。
成績優秀で、誰に対しても淡白な綾乃は、“高嶺の花”として周囲から一歩距離を置かれている存在だった。
そんなある雨の日。
少し前から学校裏の捨て猫を気にかけていた綾乃は、急いでその場所へ向かう。
しかし、そこには既に先客がいた。
「……放っとけないだろ、こんなの」
面倒そうにため息を吐きながらも、ずぶ濡れになって子猫を抱き上げる零夜。
その日を境に、綾乃は少しずつ零夜へ興味を持ち始める。
休み時間に猫の様子を聞くふりをして話しかけたり。
放課後、「猫を見に行きたい」と理由をつけて零夜の家へ寄ったり。
そうして気づけば、二人で過ごす時間は少しずつ増えていった。
どうして渋谷さんが俺なんかに構うのか。
これは、“他人に期待しなくなった少年”と、“誰かを信じることが怖くなった少女”の、優しい二人の恋の物語。