あらすじ

我々の住む地球、銀河、宇宙の、さらにその外側。 球体状の宇宙空間が、闇に無数に浮かんでいる。 そのひとつに頬を寄せていた何かが、ある日ふと、夢の中でわずかに身を返した。 ――ただ、それだけのことだった。 それから七年が過ぎる。 空はあいかわらず青く、子どもたちはランドセルを背負って学校へ向かい、駅前では誰かが信号を待っている。世界は何ひとつ変わっていないように見える。 けれど、ほころびはある。 口に出した言葉が、一瞬だけ目の前に形を持つ。 夢で見た顔と、駅の改札ですれ違う。 そんな日常の異変に、人々は少しずつ気づきはじめていた。 声を奪われた女が、失った恋人の名前を指でなぞる。 くたびれた青年が、自分の内側で目を覚ました獣を満員電車の窓に映す。 戦火の修道女が、祈りの言葉ひとつで街を焼いた。 並行世界のどこかでは、すべてを欲した少女が、こちらの自分にそっと手を伸ばしている。 ほころびの向こうで、それぞれが夢を見はじめている。 それは夜明けの予兆か、終わりの足音か――まだ誰にもわからない。

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小説を読もう2026/05/16
  • 現在の作品まだ、夢の途中