あらすじ
「グルンバは鳥ではない。道である」
そう書き残した民俗学者は、二十年前、中央山岳地帯で消息を絶った。
ノンフィクション作家の佐久間修一は、その未完の調査ノートを手がかりに、死者の灰を運ぶ火の鳥「グルンバ」の伝承を追う。
行き先は、国境地帯の小さな山村。そこでは火葬の翌朝、遺灰の一部を「鳥の戻り道」と呼ばれる谷へ運ぶ儀礼が残っていた。
鳥の声に返事をするな。
灰が舞っても目を閉じるな。
谷で見たものを名前で呼ぶな。
取材のつもりで儀礼に同行した佐久間は、夜明けの谷で赤黒い鳥の影を追う。
そして気づいた時、彼の知る地図は役に立たなくなっていた。