あらすじ
「え? これ大丈夫でしょ?」
1年後に勝手に治る病気だった。医者でも何でもない俺の言葉で何も変わらない。
「あ……まずくね?」
数ヶ月後に起こる暗殺。俺が分かったところで何にもならない。
はずだった。
生まれつき特殊な能力があった。
未来が数秒だけ見える事がある。
それだけなんだ。
大軍を片付ける魔法もないし、一騎当千の武力もない。
せいぜい口が達者なくらいなんだ。
だから
だから
「あなたなら世界を救えます!!」
「当然だ、シー様は救世主だからな」
「俺の事をゴリ押しで救世主に仕立て上げるのやめてもらえる!?」
「え? いやだ」
「嫌です」
「たまたま上手くいっただけなんだよぉ、許してくれよぉ」
これはやがて、ぼやきだけで世界を救う英雄の物語。
ではない。
「……言わなかった事の方がずっと多いって分かんねえかなあ? 本当に全部口に出してたと思うのかよ」
これは執念で全てを手に入れる、強欲な一般人の話だ。