あらすじ
「未来込みの評価です」
天瀬あかり、十六歳。
支援科・観測担当。攻撃力なし、防御力なし。
ただし、“見える”。
人を呑む異界領域〈井戸〉で、私の役目は声を出すこと。
敵の位置を告げる。仲間の危機を叫ぶ。撤退の一秒を拾う。
私の声が遅れたら、誰かが死ぬ。
相棒はAI〈ORIGO〉。
私が“大丈夫”と笑えば、『虚偽の可能性:中』と返してくる、最悪で最高の相棒だ。
ある訓練で、認可AIは全員に『異常なし』を告げた。
けれどORIGOだけが、私に告げる。
──『照合不能』。
鏡の中の私は、私より先に笑った。
冷たいはずの腕輪は、温かかった。
そして私は気づいてしまう。
たぶん、いちばんおかしいのは私だ。
それでも私は、声を切らさない。
公式が見落とす“差異”を、私とORIGOが視抜いてみせる。