あらすじ
春の陽射しが差し込む宮殿の縁側で、姫は道隆と団子の話に花を咲かせていた。
好きな味や市の名店、季節限定の餡――無邪気に笑う姫を、道隆は穏やかに見守る。
その様子を柱の陰から眺めていたのは、賢木と政朝。
決して甘い空気ではない。けれど、二人の間に流れる穏やかな空気に、なぜか割り込めない。
姫の提案で開かれることになった「団子の宴」。
賑やかに笑う姫を前に、それぞれが複雑な想いを抱えていく。
夕刻。
賢木と道隆は静かな回廊で向き合う。
姫が笑うことは嬉しい。
だが、その笑顔を誰かと分かち合うことに、胸の奥がざわつく。
不器用な独占欲、穏やかな理解、騒がしくも温かな距離感。
春風のようにやさしい時間の中で、少しずつ変わっていく彼らの関係を描いた一幕。