あらすじ
高校二年の黒瀬湊は、眠るたびに“昨日”の記憶を失う。
事故の後遺症による、原因不明の前向性健忘。 家族のことも、学校までの道も覚えている。けれど、その日に起きた出来事だけが、朝になると綺麗に抜け落ちてしまう。
毎朝、枕元のスマートフォンに残された“昨日の自分”からの動画を見て、一日を始める湊。 学校では、昨日書いたノートを読み返しながら、他人のような自分の生活をなぞっていく。
そんな彼の前に、いつも当たり前のように現れる少女――朝比奈澪。
「おはよう」
初対面のはずなのに、彼女の声だけはなぜか胸の奥に残り続ける。
幼馴染だという澪は、記憶を失う湊へ毎日変わらず寄り添い続けていた。けれど、湊にはわからない。
なぜ彼女が、自分の傍にいるのか。
昨日を持てない少年と、 “昨日”を抱え続ける少女。
忘れて、出会って、また忘れて。 それでも少しずつ積み重なっていく感情は、本当に“恋”と呼べるのだろうか。
これは、 自分だけが知らない世界で、 たった一人の誰かを好きになり続ける物語。