あらすじ
水瀬蒼(みなせあお)、高校二年生、十七歳。
ごく普通の女子高生——のはずだった。
ただし彼女には、前世の記憶がある。
前世の蒼は、とある異世界王国で「暗女王」と恐れられた存在だった。
感情を一切見せず、知略と謀略だけで国を操り続けた女。
誰かを愛することも、愛されることも、全部「計算の上でやること」だと信じていた。
そして最後は——「勇者」と呼ばれた少年に討たれて死んだ。
今世では穏やかに生きると決めていた。目立たず、騒がず、普通の青春を送ると。
なのに。
転校生として現れた天宮光(あまみやひかる)を見た瞬間、蒼の頭に前世の記憶が一気に溢れ返った。
あの目だ。前世で自分を殺した勇者の、純粋すぎる黒い目。
しかも席は隣。
(絶 対 に 惚 れ な い)
蒼は心に誓う。が、困ったことに彼は前世の記憶を持っておらず、なぜかこちらに妙に懐いてくるし、「昔どこかで会いましたか」なんて聞いてくるし、笑顔が反則すぎるし、計算が一切通じないし——
そしてある日、気づいてしまう。
彼が、前世の記憶を「夢」として断片的に見ていることを。
前世では敵同士だった二人が、現代の高校で、ちょっとずつ距離を縮めていくラブコメ。
「惚れない」と決めた悪女と、無自覚に距離を詰めてくる元勇者の、歪でかわいい恋の話。