あらすじ
ボロボロになったプラスチックの指輪が、二人の運命を繋ぎ止める。
小学6年生の夏、佐藤悠真は泣いていた。
唯一の理解者であり、淡い初恋の相手だった立花美咲が、突然の転校で街を去ることになったからだ。
「行くな」と言えない弱気な少年が、なけなしの小遣いを握りしめて駄菓子屋で買ったのは、安っぽいメッキの、ピンク色のプラスチックリング。
「これは本物を買うまでの『予約』だ。だから、絶対にいなくなるな」
夕暮れの公園で交わした、子供ゆえの無邪気な誓い。
しかし、彼らの前に立ちはだかったのは、残酷なまでの「住む世界の違い」だった。
美咲は、歴史ある名家・立花家の令嬢。一方の悠真は、どこにでもいる平凡な少年。
引き裂かれた二人の連絡は途絶え、時間は残酷に過ぎ去っていく。
10年後。必死の努力で社会へと這い上がった悠真の前に現れたのは、家柄という冷たい檻に囚われ、心を閉ざした美咲だった。
彼女の指に、あの日の指輪はない。
けれど、彼女の宝石箱の奥底には、塗装が剥げ、形が歪んでもなお、大切に守り続けられた「ガラクタ」が眠っていた――。
これは、100円の嘘のような約束を、一生をかけた「本物の誓い」へと変えるための、20年にわたる愛の軌跡。