あらすじ
「……帰りたい」
ダンジョン事故で異世界へ飛ばされた少年――朝賀ヒナタは、そう呟いた。
そこから、魔物だらけの危険な世界で約10年。
死に物狂いで生き抜いたヒナタは、ついに現代日本への帰還を果たす。
――恋人へ届けるはずだった『エリクサー』を、その手に握りしめたまま。
難病に侵された恋人は、きっと今も異世界でヒナタの帰りを待っている。
ヒナタはすぐに、もう一度あの世界へ戻る手段を探し始めた。
だが10年ぶりの現代日本は、彼の知る世界とはまるで違っていた。
魔導スーツの性能と、ダイバー資格がものを言うダンジョン社会。
そこでヒナタが持っているものは何もない。
魔導スーツ無し。
ダイバー資格無し。
ついでに、現代社会の常識も無し。
けれど、異世界で鍛え抜かれたヒナタの身体は、すでに現代の常識を超えていた。
別に、現代で成り上がりたいわけじゃない。
金も名声も、ランキングも要らない。
ただ、エリクサーを届けるために、恋人の待つ異世界へ戻るために。
帰還者ヒナタは、帰りたい。