あらすじ
感情を「味」として感じ取る異能を持つ、没落貴族のルシエル。
現在は身分を隠し、王宮の厨房で下働きの給仕として泥をすするような日々を送っていた。
ある日、ルシエルは「氷の処刑人」と恐れられる冷徹な騎士団長・アシュレイの専属給仕を命じられる。
戦場での魔力酷使により味覚を失い、何を食べても砂のようにしか感じられない呪いにかかっていたアシュレイ。
しかし、ルシエルが他者を癒やしたいという祈りを込めて作ったお菓子だけは、なぜか極上の「味」を感じることができた。
「味がする……お前の菓子だけだからな」
無味乾燥だった世界に彩りを与えてくれたルシエルに対し、アシュレイは次第に強烈な執着と独占欲を見せ始める。
一方で、アシュレイの味覚喪失の裏には、帝国を揺るがす恐るべき陰謀と「呪毒」が隠されていた――。
精霊獣のシュガーを交えた甘く心温まるティータイムから一転、迫りくる危機。
ルシエルは自身の「味覚」とお菓子作りの技術を武器に、愛する人を救うため立ち上がる。
不遇な没落給仕と、孤独な冷血騎士団長。
二人の世界が甘く溶け合う、異世界溺愛ファンタジー!
【登場人物紹介】
◇ルシエル
本作の主人公。
没落した名門貴族の息子。
銀色の髪にアメジストのような瞳を持つ。
控えめで真面目な性格だが、芯は強い。
生まれつき食べた物や人の感情に付随する味を感じ取る能力があり、それをお菓子作りに応用する天才的な技術を持つ。
現在は身分を隠し、宮廷の給仕係として働いている。
◇アシュレイ
帝国の剣と称される若き騎士団長。
黒髪に冷徹なまでの蒼氷色の瞳を持つ。
戦場での魔力酷使が原因で、あらゆる食事が砂のように感じられる呪いにかかっている。
常に無表情で何を考えているか分からず恐れられているが、ルシエルの作る菓子にだけは執着を見せる。
実は極度の独占欲を秘めている。
◇シュガー
ルシエルの菓子の魔力に引き寄せられて現れた、真っ白でふわふわした毛並みを持つ精霊獣。
見た目は大きな子犬のようだが、非常に高い知性を持ち、ルシエルとアシュレイの仲を取り持つような動きを見せる。
甘い物には目がない。