あらすじ
孤児院で出会った作り物のように美しい少年は言葉が不自由で、どうやら過去の記憶がないらしい。鳥の雛のように俺の後ろを付いて来て、じっと観察してくる様子は異常ともいえる。けれど、天涯孤独になってしまった俺にはそれがどこか心地良くもあったのだ。
「ぼく、しなない」
たどたどしい言葉で、ひとりにはさせないと告げてくる様子に絆されたのかもしれない。その日から親友になった俺たちは、成長して共に軍人になった。
突然の隣国からの襲撃、絶体絶命のピンチを救ってくれたのは誰よりも信じられる相棒で。けれど、俺の代わりに怪我をした親友の胸の傷からは──黒々とした液体が漏れ出していた。
この作品は、Xで開催された【人造生命体短編企画】参加作品です。