あらすじ
「セシリア。君との婚約を、破棄する」
舞踏会の夜、王太子アルフレッドから告げられた言葉。理由は「重い」「癒されない」——三年間、書類整理も社交の根回しも失言のフォローも、すべてを引き受けてきた私への、それが答えだった。
意識が遠ざかる瞬間、時間が巻き戻った。
気づけば三年前、婚約成立直後の朝。前回の記憶をすべて持ったまま。
最初は「未来を知っているから先手が打てる」と思った。でも静かに振り返ると、問題は未来の出来事ではなかった。頼まれると断れない。困っている人を放っておけない。気づけばいつも自分を削り続けていた——その「構造」こそが、すべての始まりだったのだ。
二周目の私は、もう過剰には動かない。
妨害するわけじゃない。ただ、本来の形に戻すだけ。支えを失った殿下の「素の姿」が静かに露わになっていく一方で、私は初めて自分の時間を手に入れた。読みたかった本を読む。会いたかった人と話す。面白いと思う方向へ、ただ動く。そうしていると、不思議と人が集まってくる。
そして——時を戻したのが誰だったか、やがて真実が明かされる。
失ってから気づいた後悔が、世界ごと引き戻した。それでも私の答えは変わらない。
「私はあなたの人生を支えるためだけに存在していたわけじゃない」
復讐ではなく、自由へ。呪縛ではなく、自分の人生へ。「未来知識で無双」ではなく、"搾取される構造そのものから抜け出す"ことを描く、やり直しヒロインの物語。