あらすじ
春の月曜、最大手「永劫」二十四階。差し出された一枚の追放通告。「君のジョブでは、AAAに値しない」——統率者ジョブ持ち・久遠鳴海、二十四歳。元部下三人も連帯責任で雇い止め。雨の夜、半分のキャベツと、十二万件の嘲笑コメント。
その夜、配信プラットフォーム DUNGEAVE から一通のDM。差出人、天上院莉央——元DUNGEAVE運営会社のマーケティング部、現フリーの配信ディレクター。淡桃ロングのアイコン。『追放、見ていました。あなたを商品化したら、一年で頂点取れます』。中野駅北口のカフェで滑らされた事業計画書。鳴海は、ペンを取った。
武蔵小杉ビル三階。配信特化クラン『廻燈』。初配信視聴者、二十三人。だが、真壁副会長の妨害ライブと、罠の動画を莉央のデータが反証した瞬間、視聴者は五万人に爆増する。統率者ジョブの真価——『指揮人数ゼロ』の自集中バフ。さらに新人探索者・小鳥遊蓬、永劫A級『氷雪剣士』氷室和音が加わり、廻燈は階段を駆け上がる。
二重バフでA級『ベルセルク』を凌駕(視聴者200万)。一時的敗北からの再起——莉央が契約初日から確保していた弁護士・宇野徹は、奇しくも真壁副会長の早稲田法学部ゼミ同期。9時、三方面同時公開。訴状、業界紙号外、緊急配信。
国家指定A級ダンジョン『桜霞迷宮』最深部。SS級・特異個体との三十分の死闘。三重バフ完成形、攻撃+480%・防御+280%・速度+200%。視聴者三百五十万、トレンド世界一位。鳴海は配信音声で宣言する。〈———俺は、廻燈の、統率者だ〉。永劫副会長は業界から追放され、清宮商事の十億円契約と、業界格付け『指揮官級』新設。莉央が初めて口にした「業務以外でも、隣に、いたい」。
——配信ディレクターと統率者の、現代ダンジョン・クラン経営譚。