あらすじ

カルヴェッツ伯爵令嬢フィリッパは、王家の「蝋燭職人」を務める家に生まれた。蜜蝋・獣脂・松脂の配合、燃焼時間の精密計算、儀式用蝋燭の彫刻——王家の祈りと儀式の光は、すべて彼女の家から生まれる。 婚約者の王太子の側妃となった侯爵令嬢が、夜会で言い放った。 「蝋燭屋風情に何ができますの。蝋を捏ねるだけのお仕事でしょう?」 左様でございますか。それでは、あなた様の戴冠式は、闇の中で行われますわ。 婚約破棄の翌朝、フィリッパは王宮の蝋燭蔵から自家の配合書と儀式用蝋型を全て持ち帰り、家業を畳んで北方の鉱山町オラスへ移った。 半年後、王太子の戴冠式が近づく。新しい蝋燭職人を雇うも、儀式用の長時間燃焼蝋燭の作り方を知らない。即位の祈祷三時間を耐える蝋燭がない。蜜蝋の養蜂師は「カルヴェッツ家の紹介でなければ売らない」と背を向ける。 「蝋燭は、火を点けた瞬間に、千年の祈りを灯すのです」

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小説を読もう2026/05/15
  • 現在の作品蝋燭屋風情に何ができる——あなた様の戴冠式は、闇の中で行われますわ