あらすじ
現代より少し先の近未来、大阪。 自動運転の車が走り、改札は顔認証で通り抜け、電柱ひとつない整然とした街——でも、その地下に何があるか、ほとんどの人間は知らない。
白峰高校三年の朝倉凛は、ある夕方、担任でも先生でもない「特別指導教諭」に呼び出され、黒曜石のような小さな石を渡された。
「今夜、行けますか」
断る理由がなかった。いや、行かなければならない理由があった。 行方不明の幼馴染・真田が消える直前に残した言葉——「石に呼ばれたら、行ってみ」。
導かれるように道頓堀の路地へ、地図にない扉へ、深い階段の先へ。 辿り着いた場所は、星空が広がる地下の異空間「鏡街」だった。
制服が変わる。和柄の紋様が浮かび上がり、手に刀が現れる。
それは選ばれた者だけに許された変身。
そして選ばれる条件はひとつ。まだ、二十歳になっていないこと。
鏡街に現れる異形の存在「シェード」を討伐するゲーム、通称「浪花鏡(なにわかがみ)」。 参加するのは、見た目は普通の高校に在籍する、ほんの数人の選ばれた学生たち。
誰もが「使命がある」「選ばれた誇りがある」と信じている。
でも——本当に、そうなのか?
誇りも使命も興味ないと言い切る同年代の変わり者と、何かを知っていて黙っている謎の後輩。 そして、戦えば戦うほど積み重なる小さな違和感。
凛は今夜、初めて刀を抜いた。 真田を探すために。選ばれたから、ではなく——自分の意志で。