あらすじ
■あらすじ
過労死した元社畜の男が目を覚ますと、そこは異世界――しかも“魔王”の肉体だった。
人類と魔族は長年戦争を続ける世界。目覚めた瞬間から「人類への再侵攻」が当たり前のように進行しようとしていたが、彼は即座にそれを拒否する。
「戦争は非効率だ」
そう判断した魔王(中身は元社畜)は、魔族国家の崩壊寸前の内情を目の当たりにし、戦争ではなく“内政改革”による立て直しを開始する。
食料生産、教育制度、インフラ整備、経済の導入――戦うための種族だったはずの魔族は、次第に“国家”としての形を取り戻していく。
やがて魔族領は急速に発展し、人類国家を上回る豊かさと安定を手に入れていくことになる。
一方その頃、人類側では異変が起きていた。
「魔王が戦ってこない」という想定外の事態により、長年“魔王討伐”を前提に維持されていた国家体制が崩壊し始める。戦争経済に依存していた人類国家は混乱し、内部崩壊と飢饉、権力闘争により徐々に弱体化していく。
さらに世界には「勇者システム」と呼ばれる、魔王と勇者を戦わせるための強制的な運命構造が存在していたことが判明するが、魔王は戦わずにその枠組み自体を“非効率”として破壊しようと動き出す。
そして現れた新たな勇者は、皮肉にも戦いを望まない青年だった。
戦わない魔王と、戦いたくない勇者。
二人は剣ではなく制度と構造によって世界の歪みと対峙し、やがて「戦争を前提に設計された世界そのもの」を終わらせる選択へと辿り着く。
結果として、魔族と人類は敵対を終え、ひとつの統合国家へと再編される。
かつて魔王だった男は、世界征服者でも破壊者でもなく――ただの“行政官”として、新しい世界の運営に関わることになるのだった。