あらすじ
「本日はお越しいただきありがとうございます。どうぞおかけください」
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
そこはとある企業の一室。壁際にはそこそこ大きな観葉植物が置かれ、白いブラインド越しに午後の柔らかな陽光が差し込んでいる。
就職面接を受けに来た男は、無駄のない所作でパイプ椅子に腰を下ろした。スーツには皺一つなく、磨き上げられた革靴は蛍光灯の光を鈍く反射していた。
膝の上に揃えた手はわずかに力が込められていたが、表情は引き締まり、視線は面接官へとまっすぐ向けられていた。
面接官は穏やかな微笑を浮かべたまま、机の上の履歴書に視線を落とし、まずは簡単な自己紹介を促した。男は息を整え、大学名や学部、専攻について淀みなく答えた。
「ありがとうございます。それでは、学生時代に力を入れたことを教えてください」