あらすじ

砂に埋もれた国だった。 風は熱を運び、 人は希望を失い、 空でさえ乾ききっていた。 誰も彼女を覚えていない。 帝国の地下で、 破れた水路を縫い、 崩れる壁を繕っていた少女を。 「戦えぬ魔導士に価値はない」 その言葉ひとつで、 彼女は国ごと捨てられた。 けれど―― 彼女の指先は、 誰かを傷つけるためではなく、 誰かを生かすためにあった。 砂漠の夜。 冷え切った子供の肩へ、 温度を編み込んだ布をかける。 灼熱の昼。 働く女たちの肌を守るように、 砂を弾く衣を仕立てる。 水なき大地には導水路を。 絶望した街には灯りを。 そして人々には、 「自分は美しく生きていいのだ」と思える服を。 彼女が縫っていたのは、 ドレスではない。 明日だった。 やがて砂の国に、 色彩が戻る。 青いターバンが風を受け、 黄金のベールが陽光を踊らせ、 星空を映すドレスが夜を照らす。 滅びを待つだけだった王国は、 いつしか世界で最も眩しい国になった。 追放された魔導士はもう、 誰かの裏方ではない。 人を守るための美しさを知る、 国家の設計者。 砂塵の彼方、 今日も彼女は針を持つ。 誰も取り残さない未来を、 この世界へ縫い付けるために。

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小説を読もう2026/05/15
  • 現在の作品『砂塵のドレスと魔法の導水路 ~追放されたインフラ魔導士、最果ての砂漠で至高のランウェイを築く~』