あらすじ
【2026年4月24日大幅改稿の上角川文庫様より刊行】
葦津国は八つの州からなる島国で、大君と呼ばれる王の一族が統治している。現在の大君は狩野雲隆といい、聡明で温厚な性格から民に慕われていた。また、その一人目の弟・月隆も理知的で冷静沈着、大君の片腕として期待されている。しかし二人目の弟・夜隆はまるでだめ。末っ子特有の要領の良さで19の年まで生きてきたが、亡き父には「お前には何も期待していない」と言われていたほどである。だが、夜隆はまったく危機感なく兄たちに甘え、奥の女たちに甘え、家臣たちに甘えて、へらへらして過ごしていた。
そんなある日のこと、雲隆が突如暗殺される。首謀者として挙げられたのは夜隆だった。夜隆は大君の座を欲していたという根も葉もない噂を立てられ、獄中につながれてしまう。月隆の温情でかろうじて命は救われたが、都からは追放。夜隆の苦難の日々が始まった。