あらすじ

三年前の“大厄災”、蒼天に走った黒き亀裂——。女神アウロラの結界が揺らぎ、神話が“脅威”として蘇った不穏な時代。  大厄災で家族を失い、深い絶望の中で一人の神聖術師の歌に心を救われた侯爵令嬢ジャミーラ・シャマルは、自らも人々を癒やし守る“神聖術師(聖騎士)”を志し、名門・聖エリュシア学園へ入学する。 しかし、彼女の故郷ランデュート王国は、その容姿から“悪魔の民”と蔑まれる地。神々から最も遠いとされる国の人間が神聖術師を目指すことは誰にも言えない秘密であり、彼女は入学早々から心無い偏見に晒され、孤立を強いられていた。 一方、ランデュート王国の第二王子ムスタファの“側近”として在学する孤児の少年・アルテリス。 地位も名誉もなく、ただ主のために影として生きる彼もまた、他人に踏み込ませない秘密を抱えていた。己のマナが自身を蝕み、痛みに苛まれる日々。凄惨な過去の記憶に縛られ、「生まれて来なければよかった」という呪いのような言葉に今も密かに苦しめられていた。  交わるはずのなかった二人の運命は、入学式典の日に交差する。 主の命により、今年入学してくる王子の婚約者を密かに探っていたアルテリスは、その矢先、孤児という身分故に貴族の生徒ハムザ・ハウゼンらから凄惨な暴行を受けてしまう。そこへ純粋な正義感から身を挺して彼に手を差し伸べた新入生——彼女こそが、アルテリスが探していた王子の婚約者、ジャミーラだった。 後日、図書館で再会を果たした二人は、放課後のひと時を共に過ごすようになり、身分や建前を超えた穏やかな関係を築いていく。  そんな折、新入生歓迎会の日。 ジャミーラは初めて対面した婚約者・ムスタファ王子から、歪な契約を突きつけられる。 「私には想い人がいる。君を愛することはないが、新たな縁談を避けるため対外的には婚約者でいてほしい。その代わり——あなたも好きに生きるといい」 想い人を守るための、“盾”としての偽装婚約。しかしそれはジャミーラにとって、王侯貴族のしがらみから解放され、諦めかけていた“神聖術師(聖騎士)”への道を切り開くためのまたとない機会でもあった。 自由を手にし、夢への道を真っ直ぐに歩み始めるジャミーラ。 そんな中、学園の安全を支える“結界石”が何者かに破壊され、魔族の瘴気が学内に流れ込むという事件が発生する。アルテリスの強い進言により、ジャミーラはその秘められた神聖術の才能を認められ、異例の“聖騎士見習い”に抜擢される。二人は生徒会の見回りと称し、瘴気にあてられ諍いを起こす生徒たちを鎮めるべく共に奔走し始めた。 だが、瘴気は生徒の心の闇を静かに増幅させていた。孤児でありながら常に成績トップに立つアルテリスに対し、激しい劣等感と嫉妬を抱えていたハムザは、悪魔の誘惑に屈し“悪魔化”してしまう。 暴走するハムザを前に、大厄災のトラウマが蘇り足がすくむジャミーラ。しかし、自らを盾にして戦うアルテリスの「過去は変えられなくても、未来は変えられる」という言葉に背中を押され、彼女はついに恐怖を打ち破る。ジャミーラが紡いだ祈りの光は闇を祓い、ハムザを救済することに成功した。 だが、その平穏の裏で、アルテリスは力を使った代償として己の内に暴れるマナの激痛に一人耐えていた。 “救うこと”に迷わない少女と、“救われる意味”を知らず過去に囚われ続ける少年。 魔族の影が学園を侵食し始める中、惹かれ合う二人の絆は、やがて世界を揺るがす神話の“その先”へと繋がっていく——。

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カクヨム
カクヨム2026/05/14
  • 現在の作品Jardin miniature 神々の箱庭で、少年少女は軌跡を紡ぐ