あらすじ
「君のような落ちぶれた家の娘と結婚するつもりはない」——華やかな夜会の中央で、三年間尽くした婚約者に捨てられた没落令嬢リディア。病弱な弟のため、繕い直したドレスで必死に婚約者の隣に立ち続けた日々は、すべて無駄になった。傘もなく、帰る馬車もなく、土砂降りの雨の中を彷徨う彼女を拾い上げたのは、社交界で「氷の公爵」と恐れられる男——アレクシス・ノースクリフだった。「私の妻になれ」突然の求婚。一年間の契約結婚と引き換えに、実家の負債肩代わりと弟の治療費を約束するという。冷酷非情と噂される公爵は、なぜ没落令嬢の彼女を選んだのか。その真意を探るうちに、リディアは公爵家に隠された「呪い」の存在と、自らの血筋に秘められた運命を知ることになる。すべてを失った夜に始まった偽りの結婚は、やがて二人の心を溶かしていく——。誇りだけを武器に生きてきた没落令嬢と、氷の仮面の下に孤独を隠す公爵が紡ぐ、呪われた血筋の愛と救済の物語。