あらすじ
わたくしクラリス・モンタロンは、15歳で歳の離れた侯爵家へ嫁ぎ、10年後に夫を看取った、25歳の寡婦でございます。
夫は穏やかで賢明な方でございました。けれど世間はわたくしを「金目当ての後妻」「先代を毒殺した魔女」と囁き、義理の息子セルジュ様はその噂を信じて、四十九日が明けるなり、屋敷からわたくしを追い出そうとなさいます。
その同じ朝、亡き夫の親友であられたヴェルニエ伯爵レオン様より、思いがけぬご求婚を頂戴いたしました。
「お返事を申し上げる前に、ひとつだけ」――わたくしは、10年閉じたままにしていた夫の遺言書を、ようやく開封することにいたします。
そこに記されていたのは、知らされていなかった夫の覚悟と、義理の息子に隠されていた真実と、ある一人の男の名でございました。
すべての噂が静かに崩れ、屋敷の影が払われるとき、わたくしは初めて、夫が遺してくださった「二度目の春」の意味を知ることになります。