あらすじ

彼女が食べたのは、僕のプリンと、空っぽだった金曜日だった。 あの恋の始まりは、彼女が僕のプリンを食べたことだった。 高校二年の高瀬陽斗は、部活を辞めてから空っぽになった金曜日の放課後を、駅前の洋菓子店《ミモザ》の「夕焼けプリン」でなんとか埋めていた。 けれどある日、その大事なプリンを隣の席の白石ひなたに勝手に食べられてしまう。 弁償として始まった、金曜放課後のプリン時間。 眠そうで、軽口ばかりで、どこか掴めない白石は、食べ終えた空き容器だけをなぜか大切に持ち帰っていた。 その理由は、病室にいる母に“夕焼け”を見せるため。 プリンの容器。 放課後の教室。 海。 花火。 ファミレス。 そして、夏休み前の終業式。 限られた時間の中で、二人は「普通の高校生みたいなこと」を少しずつ集めていく。 これは、彼女を救う物語ではない。 彼女がこの町で過ごした時間を、消えない形に変えていく物語。 そして、金曜日がもう一度、海を越えて届くまでの物語。

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小説を読もう2026/05/14
  • 現在の作品君が好きだったプリンは、まだ甘い