あらすじ
高齢者施設で働く派遣ナース・美和は、
入居者の節子さんに小さな違和感を覚えていた。
真冬なのに「暑いですね」と言い、
花火や風鈴、夕立の話ばかりをする。
まるで、彼女だけが
ずっと夏の中にいるようだった。
穏やかで、優しくて、
少しだけ季節を間違える人。
けれど、その部屋に残されていた
古いアルバムと、
めくられることのなかった一冊のカレンダーが、
美和にその理由を教えてくれる。
人は、とても大切なものを失った時、
そこから先の季節を
生きられなくなることがある。
その部屋だけ、
まだ昭和が続いていた。