あらすじ

伯爵令嬢リネット・ベルフォードは、王太子ジュリアスの婚約者として五年間、王宮の「落とし物係」をしてきた。 彼女の加護は《帰り糸》。 持ち主を失った物、盗まれた物、踏み倒された物、帰る場所を忘れた物にだけ、細い糸が見える。 なくした鍵。迷子の指輪。戦場から戻らなかった勲章。未払いの靴。 リネットはそれらを本来の持ち主へ返すことで、王宮の小さな混乱をずっと防いできた。 けれど建国祭の夜、王太子は聖女セラフィナを隣に置いて言い放つ。 「君の落とし物拾いなど、王妃には不要だ」 リネットは静かに礼をした。 「承知しました。では、わたくしが王宮に留めていた“借り物”たちも、本来の場所へお返しします」 周囲は笑った。 次の瞬間、王太子の左靴が脱げて、未払いの靴職人のもとへ帰っていくまでは。 靴、勲章、契約書、防寒毛布、王冠の飾り。 リネットが王宮を去ったことで、王宮に積み上がっていた“借り物”が次々と本来の持ち主へ戻り始める。 そんな彼女に声をかけたのは、北境の若き辺境伯カイラス。 消えた冬越し物資を探してほしいと頼まれたリネットは、王宮の白い礼拝堂に繋がる不自然な糸を見つける。 しかも、聖女セラフィナの奇跡には、切られた帰り糸の跡があった。 これは、落とし物係と笑われた令嬢が、奪われた物と名誉と居場所を本来の持ち主へ返しながら、王国の嘘までほどいていく物語。

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小説を読もう2026/05/14
  • 現在の作品「君の落とし物拾いなど要らない」と婚約破棄されたので、王宮の“借り物”を全部返します~王太子の左靴も、聖女の奇跡も、私にだけ本当の持ち主が見えます~