あらすじ

今はカラーレスの時代である。 ナフサの帝国は、慢性的資源不足と物流危機への対策として、《彩度制限令》を発布した。 これにより銀河市民は、 ・彩色衣類 ・装飾広告 ・発光看板 ・多色食品包装 ・私的ネオン演出 などを厳しく制限され、宇宙は灰色の静寂へと変わりつつあった。 帝国はこれを、「持続可能な文明への第一歩」と呼んだ。 一方、反乱軍《自由彩色同盟》は、「色彩の自由」を掲げて蜂起。 しかしその宇宙船の大半は、帝国製燃料と帝国規格部品なしでは三日も飛べないという、深刻な矛盾を抱えていた。 そんな中、辺境補給基地《スタンド・オイル37号》への襲撃作戦において、反乱軍スパイは、 帝国の最高機密―― 《原初ナフサ》 のデータを盗み出すことに成功する。 それは、現在銀河中で使用されている基礎原料とは異なり、“いかなる場合も色を失わせない”性質を持つ、禁忌の古代資源であった。 帝国皇帝は、ただちに全銀河規模の回収命令を発令。 黒衣の執行官《ナフサ・ベーダー》は、モノクロ化した艦隊を率い、反乱軍追撃に乗り出す。 その頃、工業惑星《モノクローム=セクター第四配管区》では、下請け燃料配管技師の青年が、相変わらず未払い請求書と格闘していた。 名は――グレイ。 彼はある日、帝国認可外通信帯域に紛れ込んだ、奇妙なSOS信号を受信する。 ノイズ混じりの映像。 そこに映っていたのは、灰色化した森林と、見たこともない紋章。 そして、ひとりの女。 煤けた外套をまとい、静かな目をした、彼女は短く告げる。 「銀河の“流れ”が止まり始めている」 すぐに通信は途切れた。 直後、主人公の作業用工具――旧式《カラーレス・セイバー》が、ありえない反応を示す。 起動した刀身の周囲で、灰色だった世界に、一瞬だけ“色”が戻ったのだ。 その瞬間から、青年は帝国・反乱軍・企業連合、そして“資源そのもの”を巡る戦いへと、巻き込まれていく。 だが彼は、まだ知らない。 この銀河から本当に失われつつあるものが、単なる「色」ではないことを。

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カクヨム
カクヨム2026/05/13
  • 現在の作品ナフサの帝国