あらすじ

春山忠雄(52歳)は、30年勤め上げた町工場をリストラされ、妻とも離別し、人生の袋小路に立っていた。 再就職活動に連戦連敗し、残高わずかな通帳を前に、彼は禁断の「スキマバイトアプリ」をインストールする。 現場は、深夜のコンビニ、泥まみれのイベント設営、騒がしい居酒屋――。 そこは、かつての彼がいた「終身雇用の世界」とは真逆の、数時間で使い捨てられる「刹那の労働現場」だった。 しかし、忠雄には致命的な欠点があった。 どの現場でも、染み付いた「ベテラン感」と「職人魂」が爆発してしまうのだ。 「いいか若いの。現場は生き物だ。動線に愛がねぇんだよ!」 20代の店長に説教をかまし、効率化のコンサルを始め、独断でPOPを書き換える。 当初は「ウザい」「老害」と煙たがられる忠雄だが、バブル期から平成の荒波までを生き抜いた彼が持つ「無駄に万能なスキル」が、現場の絶体絶命の危機を救っていく。 物語が進むにつれ、忠雄がなぜ「再就職」ではなく「数時間の労働」にこだわるのか、その理由が明かされる。 彼は、責任を背負う重みに疲れ果てながらも「社会の歯車」であることをやめられない、切なくも熱い男だった。 いつしか彼は、各地の現場で「困った時に現れる、謎に詳しいおじさん」として都市伝説化していく。 これは、肩書きを失った一人の男が、スマホ一つで戦場(現場)を渡り歩き、自分と、そして迷える現代の若者たちの「居場所」を少しだけ作り変えていく物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/13
  • 現在の作品タイミーおじさん