あらすじ
「婚約破棄だ」──月蝕の戴冠式、三年間尽くしてきた婚約者にそう告げられた瞬間、セレナの世界は崩れ去った。「不吉な銀眼」と蔑まれ、実の両親からも疎まれてきた彼女を、異母妹は嘲笑と共に追い出す。『影の王女』──それが、太陽王国における彼女の呼び名だった。誰にも必要とされず、誰の光も遮らないよう息を殺して生きてきた日々。けれど月蝕の夜、運命は反転する。「ようやく見つけた」──闇から現れたのは、漆黒の髪に深紅の瞳を持つ男。『血の皇帝』と恐れられる月影帝国の支配者レイヴン・ノクターシュだった。彼は十五年前の約束を覚えていた。幼い日、迷子になったセレナに「お前の目、綺麗だ」と告げた少年。彼女の銀眼を「不吉」ではなく「月そのもの」と呼ぶ、ただ一人の人。「太陽に焼かれる必要はない。俺の傍で、月光の中で永遠に輝け」──差し伸べられた手を取った時、蔑まれた令嬢の本当の物語が始まる。日陰者と呼ばれた少女は、闘の皇帝にどこまでも愛され、真の輝きを取り戻していく。これは「影」が「月光」へと変わる、逆転と溺愛の物語。