あらすじ
『夜祓衆 ― 見ると増える呪いの記録 ―』
江戸時代、山奥の閉ざされた村「久奈志村」で、供物の儀式が行われた夜、村は壊れ始めた。
人々は夜になると天井を見上げ、やがて“上へ落ちる”ように姿を消していく。異変の調査に訪れた侍・伊吹新十郎は、村に伝わる禁忌と、地下に存在する“穴”の存在を知る。しかしその怪異は、見れば見るほど増殖する“認識の呪い”だった。
やがて村は炎に包まれ、住民全員が消失。後に「天井落村事件」と呼ばれる惨劇をきっかけに、呪いを監視・記録する組織「夜祓衆」が結成される。
明治、大正、昭和、平成、令和――。
時代が進むにつれ、呪いは村から都市へ、噂から映像へ、そしてネットへと拡散していく。夜祓衆は300年にわたり封印と研究を続けるが、怪異は“観測されるほど増える”という最悪の性質を持っていた。
理解した者は死に、記録した者は消える。
そして令和。崩壊寸前となった夜祓衆最後の観測者・神代優真は、すべての始まりである“供物の少年”へ辿り着く。
誰にも名前を呼ばれず、怪異として扱われ続けた存在。
それは人間の恐怖が生み出した呪いであり、同時に、たった一人の孤独だった。
300年続いた呪いの終わりは、“その名前を呼ぶこと”から始まる。