あらすじ

「──おい、君。剣を、捨てろ」 最後の戦いの直後、勇者レインと仲間五人は光に呑まれた。 目覚めたら、東京駅。 地図は白紙。仲間は世界中に散らばり、彼の手には、一都市を吹き飛ばすだけの魔法が、そのまま残っていた。 剣を抜けば〝凶悪犯〟。 撃たれても死なないと知られれば〝怪物〟。 仲間を救えば〝逃亡犯〟。 わずか一日で、レインたちは現代国家に〝災害級危険人物〟として認定された。 身長三メートルのタンクは、車を生き物だと思って撫でようとして潰した。 千年生きたエルフの狩人は、密猟者を狩って指名手配された。 姿なき魔法使いは、米軍空母を沈めて国際問題になった。 そして十歳の聖女は──闇のオークションに、流れた。 レインは、仲間を回収し、元の世界へ帰る方法を探す。 だが、現代日本は、彼の知る『悪』より、ずっと深く、ずっと冷たかった。 仲間の一人は、闇組織の中で誇りごと壊されていく。 仲間の一人は、見世物として、最後まで誰も殺さずに死んでいく。 守れなかった、間に合わなかった、不死の体は、傷だけが消えていく。 ──こんな世界、要らない。 勇者は、東京湾の上空に立ち、最強の魔法を構えた。 その背に、声がかかった。 「ねえ、おにいちゃん。お腹、空いてない?」 塩むすびを、両手いっぱいに抱えた、ぼろぼろ泣いている、十歳の少女。 彼女は、自分から、勇者の『犬』になることを願い出た。 彼が二度と、世界を壊そうとしないように、その足元に、ずっと、いるために。 これは、最強の勇者が、現代国家の闇に飲まれ、世界そのものを敵に回しかけた、その底から、一人の少女に救い上げられるまでの物語。 そして、勇者の手記が、最後にもう一度、まっすぐな字で「ありがとう」と書けるようになるまでの、長い、長い、帰り道の話。

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小説を読もう2026/05/13
  • 現在の作品逆転生勇者、現代国家に“災害級危険人物”認定されました